「ママ、なんでお月さま、ついてくるの?」
ある夜、保育園の帰り道、3歳の息子がぽつんと聞いてきました。秋の空にまんまるなお月さまが浮かんでいて、確かに私たちの歩く道に寄り添うように見えます。
私は一瞬、どう答えようか考えてしまいました。
「うーん、なんでだろうね? ヒカルくんにはお月さまがついてきてくれてるみたいだね」
そう答えると、息子は嬉しそうに「じゃあ、お月さま、ぼくのおともだちかなあ?」とにっこり。
その顔を見た瞬間、「ああ、これが“ナゼナゼ期”なんだな」と感じたのです。
ナゼナゼ期ってなに?
ナゼナゼ期とは、2歳〜4歳ごろの子どもに見られる「なんで?」「どうして?」という質問が増える時期のことを言います。
子どもはこの時期、身の回りの世界に強い興味を持ち始め、自分なりに理解しようとしています。見たこと、聞いたこと、感じたこと、すべてが疑問につながるのです。
初めて聞いた電車の音、初めて見た工事現場、スーパーに並ぶ野菜や果物、道端に咲いた花。
すべてに「なに?」「なんで?」と聞いてくる――親にとってはちょっと大変な時期かもしれません。でも、それだけ子どもが成長している証でもあります。
毎日が「質問タイム」
我が家の朝の定番は、「今日、雨ふる?」「なんで雨ふるの?」から始まります。
朝食の卵を見て「なんでタマゴってまるいの?」「にわとりはたまごからうまれたの?」「じゃあ、にわとりのたまごってにわとり?」――
質問が質問を呼び、終わりが見えません(笑)。
最初のうちは、「今は忙しいのに…」とちょっとイライラしてしまうこともありました。でも、あるときふと気づいたんです。
質問している時の息子の目は、キラキラしている。
答えを待つその表情には、「もっと知りたい」という純粋な気持ちがあふれている。
「わたし、ちゃんと向き合ってるかな?」って自分に問い直すきっかけになりました。
正しい答えじゃなくていい、「一緒に考える」ことが大事
子どもの「なぜ?」には、いつも完璧な答えを用意しなくてもいいと思っています。
正直、私も「なんで空が青いの?」なんて聞かれて、ちゃんと説明できませんでした(笑)。
でも、「ママもよく知らないから、あとで図鑑で見てみようか」「いっしょに調べようか」と言って、一緒に絵本を読んだり、図鑑を広げたりする時間がとても楽しいんです。
「これ知ってるよ!」と息子が得意げに教えてくれるようになることもあります。
子どもの「なんで?」は、親へのラブコール
「なんで?なんで?」と何度も聞いてくるのは、ただ知りたいだけじゃなくて、親と関わりたい気持ちのあらわれでもあるそうです。
だからこそ、なるべく否定せずに、「それおもしろいね」「たしかにふしぎだね」と、子どもの気持ちに寄り添うように心がけています。
もちろん、仕事で疲れていたり、余裕がない日もあります。
そんなときは「今ちょっとだけ待っててね」と言って、あとでゆっくり向き合う時間を取るようにしています。
完璧な対応なんてできなくても、子どもはきっと「ちゃんと聞いてくれた」って感じてくれると思うんです。
ナゼナゼ期は、今しかない特別な時間
「ねえママ、なんで、おひるねはしなきゃいけないの?」
「ママ、どうしておとなはコーヒーのむの?」
「なんでおともだちっているの?」
子どもの質問って、ときどきドキッとするほど深くて、思わず考え込んでしまうこともあります。
でも、それこそがナゼナゼ期のすごいところ。子どもは小さな哲学者なんですね。

まとめ
きっと、少しずつ「なんで?」が減っていく日が来ると思うと、ちょっとさびしくもあります。
だからこそ、今しかないこの“質問だらけの毎日”を、できるだけ大切にしたいと思っています。
ナゼナゼ期は、子どもの心と親の心がいちばん近づける、そんな宝物のような時間なのかもしれません。