「ママ、きょうはおやすみしていい?」
娘がそう言って私にしがみついたのは、4月のある月曜日の朝でした。
保育園に通い始めて1年。ようやく慣れてきたと思った矢先の“登園しぶり”。
毎朝玄関で泣き、抱っこから離れず、先生に引き渡すときには大泣き。
「なぜ急に?」と戸惑い、「どうしたらいいの?」と悩んだ私が、少しずつ試して、感じて、そして乗り越えつつある体験を、今日はできる限りリアルに綴ってみようと思います。
登園しぶり、ある日突然やってきた
娘の登園しぶりが始まったのは、進級して新しいクラスに変わったタイミング。
担任の先生も変わり、教室も少し大きくなりました。
最初の週はなんとか通っていましたが、2週目に入ると、朝起きるなり「ママといっしょがいい」と言って着替えを拒否。
その日は泣きながら登園し、先生に抱っこされて教室に入っていきました。
その後、園からの連絡帳には「日中はケロッとして遊んでいます」とあり、安心したのもつかの間。翌日からはさらに激しく泣くようになりました。
朝の支度が進まない。
玄関で固まる。
保育園の門を見ただけで泣く。
「行きたくない」の連続。
1日、2日、そして1週間…。
これは一時的なものではないのかもしれないと感じ始めました。
親として感じた葛藤と不安
正直、かなりしんどかったです。
・朝から泣かれることでこちらも心が不安定になる
・仕事には遅れられないプレッシャー
・「どうしてこうなったの?」という焦り
・無理に連れて行くことへの罪悪感
何より、「子どもが泣いて嫌がる場所に無理に連れて行っていいのか?」という問いが、毎朝のように心をよぎりました。
SNSを見ると「うちは保育園大好きです!」という声ばかりが目について、つい比較しては落ち込んでいました。
でもある時、ふと思ったのです。
「この子はちゃんと、自分の気持ちを言えてる」って。
それはすごいことだし、守ってあげたいサインなのかもしれないと。
我が家で試したこと
いくつかの方法を試してみました。試行錯誤の中で、子どもに合った対応を探す日々。すぐにうまくいったものも、時間がかかったものもありました。
1. 「行きたくない」気持ちを否定しない
朝、「いやだ」と泣く娘に、最初は「大丈夫だよ、行ったら楽しいよ」と言ってしまっていました。でも、それは逆効果。
そこで言葉を変えてみました。
「そっか、行きたくないんだね」「ママとずっと一緒がよかったんだよね」
そう声をかけると、娘の表情が少し柔らぐことがありました。
→ 効果:気持ちを受け止めてもらえたという安心感が少しずつ生まれる
2. “一緒に頑張る”雰囲気づくり
登園の直前には、「ママもお仕事がんばるから、○○ちゃんも保育園がんばってみよう」とおそろいの“がんばろうポーズ”を作ったり、
「ママも○○ちゃんもヒーローみたいにがんばる日だよ!」という“おまじない”を言い合ったりしていました。
→ 効果:2人で戦ってる感覚が、子どもにとって心の支えに
3. 時間に余裕をもつ
朝バタバタしていると、親の焦りが子どもにも伝わってしまいます。
20分だけ早起きし、朝の準備を「遊び」として取り入れるようにしてみました。
たとえば:
・靴下競争(ママとどっちが早く履けるか)
・お弁当袋を持って“配達ごっこ”
・階段を「がけ登りゲーム」に
→ 効果:登園準備を“イヤなこと”から“遊び”に変換することで気がそれる
4. 担任の先生とのこまめな共有
「朝がつらいこと」「どう対応しているか」「家での様子」などを連絡帳だけでなく、可能な範囲で直接伝えるようにしました。
先生からも「教室に入ったらすぐに落ち着いてますよ」「今日は○○くんとたくさん遊んでいました」といったフィードバックをもらえたことで、こちらも安心できました。
→ 効果:保護者と先生が連携しているという安心感を持てる

少しずつ見えてきた変化
毎朝泣いていた娘も、3週間ほどで少しずつ登園の儀式に慣れ、今では「いやだ」と言いつつも、自分で靴を履き、先生とバイバイできる日が増えてきました。
もちろん、完全に泣かないわけではありません。
でも、私自身も「泣いた=ダメだった」とは思わなくなりました。
泣いても、行けた。
泣いても、また帰ってこれた。
その経験こそが子どもの中に「安心」を積み重ねているんだなと、今ならわかります。
まとめ
登園しぶりは、決して“わがまま”や“問題”ではなく、子どもが自分なりに環境に適応しようとしているサインだと思います。
親にとっても、子どもとの信頼関係を深めるチャンスだったのかもしれません。
大事なのは、完璧な対応をすることではなく、子どもの気持ちに“耳を傾けること”。
今日も泣きながら抱っこで登園した娘。でも、教室のドアが閉まる前に「いってきます」と手を振ってくれた、その瞬間だけで十分です。
同じように悩むパパ・ママへ。
「今はしんどいけど、大丈夫。少しずつ乗り越えられる日が来るよ」
そんな気持ちを込めて、この記事を届けます。